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事例:神戸市 H地区 被災マンション建て替え事業

まちづくりを実現するための調整技術 (権利者カルテ分析システム)

当地区は、阪神大震災時に被災し、189戸の住民が、デベロッパーやゼネコンからの専門家を交え、修繕か建て替えか2年間ほど検討を進めたのですが、なかなか結論がでませんでした。


その後、当研究所に相談があり、その状況を確認いたしますと、全住民に対し、4回ほどのアンケートを行うなどコーディネーターの方は、精力的に活動をされていましたが、如何せんマンション建築の専門家のため、全体の住宅棟の建て替えプランを提示して意見を求めているだけで、住民の方々の個別の事情に配慮されていませんでした。
高齢者の方々が多く、年金生活で、借金をするようなことはしたくない、引っ越し費用など諸費用がない等、金銭に関わる問題が多く出されているわけですから、その方々の不安に個別に解決策を提示してゆく必要性がありました。

さっそく、当研究所のコーディネーターは、過去のアンケートから個々の意見を権利者カルテシステムにより集約し、提案による時系列な反応、ここの課題の整理など個別対策と全体の建築計画の調整が出来るようなシステムの整備から始めました。
すなわち、システムにより、住民の一番の課題であった負担金をより少なくするため、個別対策である権利者の方々の将来住戸の考え方と全体の建築計画である余剰容積の活用や、住環境整備という点から、個と全体の調整システムを、合意形成ツールとして整備したわけです。

個別対策:負担金、諸費用、住戸規模、住戸階
×
全体計画:容積率、住戸規模、敷地デザイン

例えば、余剰容積を活用することで計画住戸を増やし、その収益の分担金で個々の資金負担を減らすことや、子供達が巣立った高齢者の方々の居住面積を、夫婦用に見直すことで、余剰資金がうまれ、負担金を減らすことなど、個別の意見の変化の状況を個票で読んで、それらの人が全部救われるように検討していきました。

この検討結果をもとに、住民ヒアリング、計画の修正を数度おこない、住民の方々にとって満足がいくような提案をしてゆくことにより、189世帯の内、反対者は20名程度になってまいりました。

この地域の場合、負担金は、余剰住戸の販売費用で、世帯あたりの負担は、200万程度に押さえられたのですが、反対者のほとんどが、ご高齢の方で、借金はできない、したくないという意見の方でした。

しかし、この頃には、幾度にも渡る説明会、個別ヒアリングの成果もあり、住民の方々の事情などを、お互いに理解し合っている状況になっており、住民の中からは、困っている方々の分は、みんなで負担しようじゃないかという意見まで出され、そこまで皆さんがやる気ならと、県や市の行政の方々も、資金助成を検討しましょうというような関係者の方々すべての助け合いの雰囲気が出てまいりました。

そして、関係者による議論が進む中で、20数名の反対者の方々も、そこまで、考えていただくのであれば、なんとか自分達も、少しでも負担していこうということで、結局は関係者による負担なしで、新しいマンションへの建替えとなりました。

これは、権利者の皆さんが、みんなの住まいをよりよい状態にしていこうという前向きの気持ちで1つにまとまり、そこから生まれた思いやりの心が、反対者の方々の感動を呼び
おこし、よりよいまちづくりが成功した事例といえます。

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